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月夜の留守番電話

外国旅行記と小説。

DON'T CALL ME CRAZY

ポルノグラフィティシングルタイトル800字小説

夢にジャスティン・ビーバーが出てきた。理由はわからない。思い当たる節はない。私は基本的に、彼のことが好きではない。欧米青年の悪い部分を濃縮して具現化させたような感じがする。もっと言えば、彼のことを好きな女性ファンのことがもっと好きではない。あんな世間知らずなひとりの少年にキャーキャー騒ぐなんて、正気の沙汰とは思えない。ジャニーズJr.ファンの独身OL以上にどうかしている。

ともかく、しかし夢の中のジャスティン・ビーバーは、私の印象とは裏腹に、かなりの好青年だった。彼は100円ショップで買い物をしていた。台所用具コーナーを物色していた彼を、何かを探していた私が見つけたのだ。私は何を探していたのだろう。

彼は、2つの三角コーナーを手に取り、しばらく見較べた後、くるっと私のほうを向いて「このふたつはどう違うんでしょうか」と言った。私はたしか「大きさも形もほとんど同じだし、色の違いだけじゃないでしょうか」と答えた。彼は「ありがとう」とニッコリ笑いながら軽く礼をし、もう一度そのふたつを見較べて「あ、底の網目の大きさが違いますね」と言って「なるほどそういうことか」とか何とかボソボソ言いながら、「とにかくありがとう」ともう一度言った。

私はその後、台所用具コーナーを離れ、何かを手に取りレジに向かった。私は何を手にしていたのだろう。自分のことだけがまるで思い出せない。

そこでもジャスティン・ビーバーは好青年だった。前に並んでいたおばあさんが支払いに少し手間取り、後ろの彼に「時間かかっちゃってごめんなさいね」と言ったら、彼は「いえいえ、とんでもない」と言いながら、サッとおばあさんの分のお金を支払った。驚いた顔のおばあさんに、「ボク、少しだけ有名なのでこれぐらいは払えるんですよ」と照れ笑いを浮かべたジャスティン・ビーバーは、なかなかかわいかった。

そういえば私たちはどこの言葉で話していたのだろうか。