月夜の留守番電話

外国旅行記と小説。

ギフト

この時期は本当に忙しい。店内にはオルゴールのクリスマスソングが流れ、フロアのあちこちにクリスマスツリーが飾り付けられるこのシーズン。はじめの数日は新鮮味があって少し気持ちが浮き立ったサンタ帽も、何週間もつけていると飽き飽きしてくる。心なしか、先端のポンポンもげんなりしたように、フニャリと折れてくる。

レジには様々なプレゼント用品がやってくる。買物カゴを携え、あるいは箱を抱えてやってくる大人たちは、私にとっては見知らぬ無名の人々にすぎないが、ひとりひとりが誰かの大切なサンタさんなのだ。そんなことを考えては、昔とすっかり様変わりしたおもちゃやゲーム機に時折驚きつつ、プレゼントを丁寧かつ迅速にラッピングしていく。新人時代、まさにクリスマスシーズンにラッピングのコツを掴み、その速度が急激に上がった。自身のうちに眠るなけなしの学習能力を頼みにしないことには、到底捌ききれないお客様の数。ネット通販の普及により、百貨店でのクリスマスプレゼントの売り上げが落ちているのは事実だが、それでもやはり忙しい。

包装紙を敷き、箱を置き、順序に沿ってテンポよく、きっちりと折り目をつけながらラッピングしていき、最後に赤いリボンの「Merry Christmas」シール。子どものときは、シールに何が書かれているかなんてわからなかったし、そもそも読もうともしなかった。朝起きたとき、枕元にそっと置いてあるウキウキした包装紙が嬉しくて、その中に何が入っているのか楽しみで、あっという間に破いてしまっていたから。もらうものが変わり、遊ぶ場所が変わったとしても、それは今でも同じなんじゃないかな。

そう、たしかにクリスマスの半分は、大人の自己満足かもしれない。こんなに丁寧に折り目をつけて包装しなくても、君は気にしないかもしれないね。でもね、顔も名前も知らない君の幸せを願う私の気持ちは、こんなところにしか表せられないんだよ。